決済手数料を3社で比べても差が出なかった理由|交渉した店としなかった店で0.38ポイント違う

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決済端末を3社ぶん使っています。PayCAS、Airペイ、Squareです。
端末を増やすたびに手数料も比べてきましたが、大きな差を感じたことがありません。以前書いた記事にも「そこまで大きな差は感じなかった」と書きました。
その理由が、公正取引委員会の調査を読んで分かりました。 感覚の問題ではなく、手数料の構造上そうなっていました。
うちはタレント事務所を経営しながら、2020年から月20回ほどイベントで物販をしています。この記事は、決済手数料の中身を調べたときのまとめです。
手数料の約7割は、端末会社の取り分ではない
クレジットカードの加盟店手数料には、インターチェンジフィーという部分が含まれています。
お店と契約している決済会社が、カードを発行している会社に支払う手数料です。お店から見ると、支払った手数料の一部がカード発行会社へ流れていく形になります。
そしてこの割合が、加盟店手数料の約7割とされています。
加盟店手数料の約7割をインターチェンジフィーが占めている
これは成長戦略実行計画(令和3年6月18日閣議決定)に書かれた内容で、公正取引委員会の実態調査報告書にも引用されています。
つまり、手数料のうち端末会社が自分で決められるのは、残りの3割ほどということになります。
だから比べても差が出にくい
ここから先は私の解釈です。報告書がそう述べているわけではありません。
7割が共通の仕組みで決まっているなら、各社が競争できるのは残りの3割の部分だけです。 そこで多少の違いがあっても、全体の料率に置き換えると小さくなります。
3社を並べて比べたときに差を感じなかったのは、そもそも差が出にくい構造だったからだと考えています。
端末を選ぶときに手数料を最優先にしていた自分の判断は、あまり意味がありませんでした。それより会場に電波が届くかどうかの方が、売上に直結していました(決済端末は機能より電波で選ぶ)。
ただし、交渉すると変わります
同じ報告書に、加盟店へのウェブ調査の結果が載っています。ここが一番実務に効きました。
契約先を選ぶときに手数料を交渉したかを聞いた結果です(n=804)。
| 平均加盟店手数料率 | |
|---|---|
| 交渉した(全体の44.4%) | 2.51% |
| 交渉しなかった | 2.89% |
| 全体 | 2.70% |
差は0.38ポイントです。
そして**交渉した加盟店は44.4%**にとどまっています。半分以上は交渉していません。
0.38ポイントがいくらになるか
料率の差は小さく見えますが、決済額に掛かり続けます。
| 月のカード決済額 | 0.38ポイントの差 | 年間 |
|---|---|---|
| 50万円 | 1,900円 | 22,800円 |
| 100万円 | 3,800円 | 45,600円 |
| 200万円 | 7,600円 | 91,200円 |
一度の交渉で、毎月ずっと効きます。 端末を乗り換えるより手間が少ない割に、金額としては大きくなります。
小規模事業者ほど高い料率になりやすい
報告書には、カード会社側の証言も載っています。
各社が公開している 3.25%という数字は,中小規模の加盟店における標準的な加盟店手数料率であると思われ,大手の加盟店の数字も含めて平均的な料率を算出すれば,その料率はもっと低くなる。
取扱高の規模が大きい大手小売店などの場合は,投資したコストを回収しやすいため,加盟店手数料の料率は低くなる
中小規模の加盟店の加盟店手数料については,インターチェンジフィーの標準料率よりも高めに設定している場合がある。
規模が小さいほど、高い料率を提示されやすいということです。これは各社の企業努力の差ではなく、コスト回収の考え方から来ています。
だから、小規模事業者ほど交渉の余地が残っています。 最初に提示される料率は、大手向けの水準ではありません。
交渉の材料は公開されています
以前は、インターチェンジフィーの料率が分かりませんでした。自分が払っている手数料のうち、どこまでが動かせない部分なのかが見えなかったということです。
これは変わりました。
- 令和4年11月30日:Visa、Mastercard、UnionPay(銀聯)がインターチェンジフィーの標準料率を公開
- 令和5年6月1日:JCBが加盟店手数料のイシュア・アクワイアラ間の配分率を公開
公正取引委員会が実態調査を踏まえ、公開が加盟店の交渉やアクワイアラ間の競争を促す観点から適当との考え方を示したことがきっかけです。
自分の業種の標準料率を見れば、提示された料率のうち何ポイントが上乗せ分なのかが分かります。 そこが交渉の対象になります。
うちの場合
うちは一度も交渉していません。
3社と契約してきて、提示された料率をそのまま受けています。手数料は比べたのに、下げられるものだと思っていませんでした。
理由は単純で、決まっているものだと思い込んでいたからです。料率は先方が決めるもので、こちらが口を出す種類のものではない、と考えていました。実際には交渉した加盟店が44.4%いて、その分だけ平均が低くなっています。
比較には時間をかけて、交渉はしていなかった。 これが一番もったいなかった部分です。端末を1社増やすかどうかで悩んでいた時間の一部を、既存の契約先に聞くことに使えばよかったと思っています。
今後、標準料率を確認したうえで一度聞いてみるつもりです。結果が出たら、下がったかどうかにかかわらず書きます。
うちは月20回ほど出店していて、キャッシュレス比率は現在6割ほどです。0.38ポイントの差は、この規模でも年間では無視できない金額になります。
まとめ
- 加盟店手数料の約7割はインターチェンジフィーで、カード発行会社に渡る部分
- 端末会社が動かせるのは残り3割ほどなので、複数社を比べても差は出にくい
- 一方で、交渉した加盟店の平均は2.51%、しなかった加盟店は2.89%(差0.38ポイント)
- 交渉したのは44.4%だけ。半分以上は提示された料率のまま
- 3.25%は中小規模の加盟店の標準的な水準とされ、規模が小さいほど高くなりやすい
- 標準料率と配分率はすでに公開されているので、交渉の材料は手元で用意できる
端末を比べる時間があるなら、今の契約先に一度聞いてみる方が効きます。
※この記事は2026年9月6日時点で公正取引委員会の公表資料を確認して書いています。料率や制度は変わることがあります。実際の契約条件は各社にご確認ください。
参照した資料