自作アプリで最初に作ったのは、CSV書き出しでした|逃げられる状態を先に用意する

社内のツールを自作するとき、たいていは「まず動くものを」と考えます。私も最初はそうでした。
ですが、請求・支払い管理のアプリを作り始めたとき、いちばん最初に作ったのはCSV書き出しの機能でした。肝心の請求機能より先にです。
うちはタレント事務所を11年やっていて、社員3人で所属タレント80名を回しています。人を増やせないので、社内の実務をAIで自動化してきました。この記事では、その過程でいちばん効いた判断について書きます。
自作の最大のリスクは、サービス終了ではない
ツールを買うとき、多くの人が心配するのは「このサービス、いつまで続くんだろう」です。
自作すれば、その心配はなくなります。ベンダーが撤退することはありません。
ですが、自作には別のリスクがあります。
作った本人が、メンテできなくなることです。
私の場合、それは自分です。事務所の仕事が立て込めば、アプリの手直しは後回しになります。忙しい月ほど、社内ツールは放置されます。
構造としては、ベンダーの撤退とまったく同じです。中を触れる人がいなくなり、データだけが残る。 そして対策も同じでした。
「逃げられる状態」を先に作る
CSV書き出しを最初に作った理由は、これです。
データさえ標準形式で外に出せれば、アプリを作り直しても、業務は止まりません。
- 私が触れなくなったら、別の仕組みに移せる
- 市販のツールを買うことになっても、データを持っていける
- 作り直すときも、ゼロからではなく途中から始められる
遠回りに見えます。実際、CSV書き出しだけができるアプリには、何の業務価値もありません。
ですが、出口を先に作っておくと、あとの判断が全部軽くなります。 「この作り方で失敗したら終わり」ではなくなるからです。
買うときには、できていなかった
ここは正直に書きます。
自作のときは出口から作ったのに、ツールを買うときは、ほとんど確認していませんでした。
うちが契約している既存のツールも、エクスポートを実際に試したものはありません。「エクスポート機能あり」と書いてあるのを見て、それで安心していました。
先日、同じようにAI導入を進めている方から指摘をもらって気づきました。
機能が「ある」ことと、出てきたファイルで業務が回せることは、別だということです。
書き出してみたら主要なデータが半分しか出てこない、ということが実際にあるそうです。それでも仕様上は「エクスポート機能あり」になります。
そこで、これから必ずやると決めたことが2つあります。
- 既存のツールで、平時に一度エクスポートを試す。 解約を考えたときに初めて確認するのでは遅いからです
- 新しく契約するときは、出てきたファイルの中身を見てから決める
まだ着手していません。やってから、結果を書きます。
いま残っている課題
正直に書くと、うちの自動化はまだ途中です。
領収書はスキャンからデータ化まで自動化できました。ここは完了しています。
ですが、最終確認は今も全件を目視しています。 データ化されたものを、私が一件ずつ見ています。
作業は減りました。読む・写す・集計するといった部分は、確かに消えました。
消えなかったのは、間違えたときに誰かが責任を取る判断の部分です。ここは人が残っています。
次にやろうとしているのは、この確認を「全件見る」から「例外として弾かれたものだけ見る」に変えることです。まだ着手していないので、結果は書けません。やってから、数字と一緒に書きます。
まとめ
社内ツールを自作するか、買うか。判断の前に決めておくべきことが一つあります。
逃げられる状態を先に作ることです。
- データを標準形式で書き出せるか
- その書き出したファイルで、業務が再現できるか
- (自作の場合)自分が触れなくなったとき、誰がどうするか
この3つに答えを持っていれば、作っても買っても、致命傷になりません。
機能を比べるのは、そのあとで十分でした。